「就職氷河期」とは一体何だったのか。当時の新卒者の今を5つ挙げてみる
バブルが崩壊して 数年後、アジア通貨危機などの影響でさらに景気が悪化して日本では就職氷河期に突入した。
現在のアラフォー世代がちょうど社会に出て就職するころのことで、
私が新卒として就職活動をしていたころは、ちょうど就職氷河期まっさかりで、同じ学校の同級生たちも「50社受けて全然ダメだった!」なんてことは日常茶飯事でした。
そんな周囲の状況を聞きながら、私も就職活動をしていましたが、面接に行けばなんとまあ偉そうなオッサンにああだこうだ説教を食らう圧迫面接を受けて帰るだけの日々。
当時は求人倍率が戦後ワースト1位とか2位のころでしたが、一方で世の中の風潮は
「最近は就職する努力もせず働きもしないダメな若者が増えている」
と大真面目に言われており、
「マラソンの○○選手は努力して金メダルを取ったのに、最近の若者は努力しようとしない、じつに情けない!」
と、一国の首相が発言しても世の中がそれに同調するという、異様な雰囲気でした。
その理論でいくと、マラソン選手が全員努力すれば全員金メダルを貰えるのか という矛盾が生まれるが、そんなことは誰も指摘しないし発言を批判しない。
「くっだらねえ!」
と思った私は、浪人して当時倍率が30倍ぐらいまで厳しくなっていた公務員試験を受
験し、なんとか合格して公務員として働き口を得たものの(しばらくして転職しましたが・・・)、やはり周囲ではアルバイトすら決まらないという厳しい状況の人もいました。
そんな就職氷河期に、「勝ち組」と「負け組」という言葉が突如生まれたと思います。
要するに、「正社員の座を手に入れた人は勝ち組」、「正社員になれなかった人は負け組」と、実にくだらないカテゴリ分けが生まれ、「日本は一体どうなってしまったんだ・・・」と、情けなく思ったのを覚えています。
そして現在、周囲の人たちが当時どう選択して、どうなっていったのかを挙げていきます。
1 就職活動によって正社員になったものの、ブラック企業だった
当時、求人を出しているところは新卒採用枠にもかかわらず「実務経験5年以上」とかアホ丸出しな求人があったり、そんなもんないので仕方なく「実務経験なし」で選ぶと、低賃金重労働のブラック企業が多かったです。
今ほど労働法がどうのと騒がれていなかったため、現在と比べればやりたい放題でしたね。
友人が就職した会社も、いわゆる新卒使い捨ての会社で、大量雇用大量退職システムで、過酷な勤務を強いられた友人は身体を壊して退職、現在はショップ店員などを転々としています。
また、他の友人が就職した会社では、詐欺まがいな事業をしている会社で、本人もおそらく会社の命令で昔の卒業アルバムなどで片っ端から同級生たちに電話してカモを探していました。
2 別の学校に入りなおして求人倍率が復活するのを待った
これを選択した友人は、大学卒業後に専門学校に入りなおすなどの「親の負担がかかる」ことを許されている状況でしたから、しばらく待ってそこそこ大手の企業に新卒で入社したものの、その会社が倒産、現在は実家でニート状態です。
かなり慎重な選択を取ったと思いますが、そこそこ大手の倒産というのは想定外の出来事だったのでしょう。
「想定外の出来事に対して対応できる能力」があったほうがリスクが少なくなります。
3 就職が決まらなかったが、アルバイト等の非正規雇用にありついた
このパターンは社会的にも問題になっていて多いと思いますが、何の人生設計もせずにアルバイトで食いつないだ人は、現在でもアルバイトのままです。
私の同級生でも、優等生だったにもかかわらず、このパターンにハマって現在は見る影もなく完全に浮浪者みたいな見た目になっています。
社会や周囲から「ダメ人間の烙印を押されて自信を喪失した状態」で何年も経つと、本当に人間をダメにしてしまいます。
当然、低賃金で不安定な雇用のため実家から出ることができず、自信もないため向上心やチャレンジ精神は皆無です。
4 当時入社した会社で、そつなく今まで過ごしている
このパターンも意外に多く見かけるパターンですが、話を聞けば、「上が詰まっていて全然出世できない」とか「なぜか給料が増えない」等々、
不満を聞くとキリがありませんが、やはりみんな就職氷河期のトラウマを持っている人も少なくなく、「転職してもそこがブラック企業だったらどうしよう」とか、「冒険して失敗するよりは今のまま耐えてしがみつこう」なんて人が多いです。
5 親の会社に就職した、または親のコネで就職した
当時、一番うらやましがられたパターンで、親のおかげで圧迫面接なんか受けることもなくすんなりと収入口を得られて就職氷河期なんのそのでした。
親の力が働いているため、ブラック企業で使い捨てられるリスクもなく、なんかノホホンとしてるなあと、当時はうらやましくも思えましたが、その分必死さがなかったため30歳を過ぎてから結構苦労しているように見えます。
逆にいうと、「食っていくために必死になる機会を親が与えなかった」
ということなので、何にもなく独立開業した人たちに比べてハングリー精神の有無が全く違います。
5 独立した
何人か独立した人たちがいて、偶然かもしれませんが共通しているのは当時独立した友人たちは「失敗している人がいない、むしろ成功している」ということです。
例えば、
・近所の酒屋のバイトすら決まらなくて独立をせざるを得なかった➔独立して現在は都心に自社ビルを構え、無借金経営をしている。
・日本はクソだから海外で修行して独立する➔独立して現在は日本、海外に会社を展開して規模を伸ばし続けている。
・就職できないからヒモになりながら趣味のCGに没頭していた➔現在は有名なイラストレーターで街中でも彼の絵をよく見かける。
リアルタイムでその様子を見ていたら、最初はとてつもなく大変そうでした。
「金がないのでサンマ一尾を何日かに分けて食ってた」
とか、会っても
「金がなくて喫茶店に入れない」
と、本当に生きるのに必死な感じが伝わってました。
就職氷河期まとめ
ざっと周囲の人たちの様子を挙げてみましたが、就職氷河期に限らず、常に「世の中の流れによって人生を踊らされている人たちがいる」
ということなんだと思います。
その時代によって違った苦労というものも必ずありますから、結局のところ本人のマンパワーです。
また、何が本人にとって幸せなのかは分からないので、当時選択した道が正しいのか間違っていたのかはその人次第になるかと思いますが、「時代の変化に対して相応の対応ができるかどうか」ってかなり重要です。
世界を見渡してみると、「生まれた時代と場所によって人生が決まる」なんてことは多くあることです。
それを考えると、いくら日本で生まれた時代が悪かったといっても、「パレスチナのガザ地区とかで生まれるよりかはこの日本で生まれたほうがはるかにマシ」といえるのではないでしょうか。
「親のコネのあるなし」なんてかなりみみっちい差ですから、あとは「自分がどう向上してチャレンジしていくか」ということなのでしょう。
なのでぜひ、この先の人生をチャレンジしてほしいですね。