元公務員が考える、実際に公務員やってみて感じたメリット・デメリット
世の中の「公務員」のイメージといえば、
・安定している
が一番だと思います。
日本がバブル崩壊や就職氷河期なんかの出来事があって終身雇用制が崩れてから、やたらとこの「安定性」の価値が高まってきたため、「公務員」という職業は非常に人気がありました。
ここでは私が公務員になってみて感じたメリットとデメリットを考えていきます。
「公務員になることは良いことなのか?」「本当に安定しているのか?」「どんな人が公務員に向いているのか?」という視点で色々考えてみました。
公務員のメリット
公務員になることのメリットはいくつかありますので、挙げていきます。
社会的信用度が高い
これはどこに行っても「公務員です」。と名乗ればいきなり信用されます。
公務員といえば「お堅い人まじめなたち」というイメージもあって、”危険人物ではありませんアピール”にはもってこいです。
さすがに「国」の信用度はものすごく高いです。
どうしても「信用」を得られる身分が得たい!という人であれば、公務員はとてもマッチしているといえるでしょう。
親戚や友人たちから一目置かれる
「国」という信用があるわけですから、当然親戚や友人たちから「立派な人」という印象を与えることができます。
両親としても自分の子供が「立派な人」になれば親戚たちに誇れると思います。
(私の場合は、父がもっと上級の公務員だったため、あまりインパクトがありませんでしたが・・・)
「両親のために立派な身分になりたい!」
「親戚たちから褒められたい!」
「友人たちに誇りたい!」
という人は、もしかしたら公務員になってみると良いかもしれませんね。
女性にモテる
友人に誘われて合コンなんかに出てみると、公務員というだけでかなりモテます。
最初に入り口に関しては公務員と名乗るだけで、女性たちが興味を示してくれます。
やはりその理由も「信用できる」「安定している」等、結婚相手の候補として挙げられやすい職業イメージだからです。
ただ、もちろん恋愛関係などで最後に決まるのはマンパワーな要素が強いですから、人間性も磨いた前提での話です。
「もともと普通、だけどさらにモテたい!」
なんて人は、公務員になると更にモテるかもしれませんね。
意外と転職しやすい
私自身が感じたのは、意外と民間企業へ転職しやすいです。
その理由もやはり、
「得体のしれない所からやってきた人よりも、”国”のもとで働いていた人のほうが安心」
という部分が少なからずあると思います。
私が民間企業へ転職して人事の人に聞いたら、
「彼は巨大組織の人だし、まさかうちなんかに来るはずないと思って内定を出した」
と言っていましたから、
いかに”国”の信用力が絶大かが分かります。
公務員のデメリット
メリットがあればデメリットもあります。
次はデメリットの部分を挙げていきます。
根強い縦割り社会
民間サラリーマンでも言えることですが、「上司がバカ」というリスクを抱えています。
公務員の場合は「上の命令は絶対」という雰囲気が特に強い縦割り社会ですので、例え上司がどんなバカであっても従わなければなりません。
公務員の場合は2年毎での人事異動が多いため、バカ上司がいなくなる可能性もありますが、その次もまたバカだとエンドレスにストレスが溜まります。
上司がバカであることによって
「精神を病んで精神疾患になる」
「退職せざるを得なくなる」
というリスクがあるため、とても安定しているとは言い切れません。
実際に、私の先輩も「上司がバカ」であることによって妻子がいて住宅ローンを抱えた状態で退職した人もいますから、「公務員=安定」は幻想です。
ちなみに私もバカ上司に当たったことがあり、下が意見を言うことは許されない的な雰囲気でしたが、ガンガンに反抗的な態度を取っていたため、「ことなかれ主義」の世界では問題児扱いされていました。
「下から何かを提案をする隙が一切ない」
というのが非常に窮屈さを感じさせました。
副業が禁止されている
これは痛いです。本当に痛いです。
公務員は「安定」というイメージですが、辞めたら収入口が0になってしまうリスクがあります。
収入口を1本に頼り切るなんてのはとてもじゃないですが「安定」とは言い難いです。
今でこそ公務員の副業解禁は検討されていますが、「収入口を増やす」なんて発想自体が公務員の世界にはありません。
以前、消防士が副業で風俗を経営して荒稼ぎしていたなんてニュースがありましたが、逆に言えば
「”公務員”だったからニュース沙汰になった」
とも言えますよね。
世間からも監視されているので、公務員はとにかく窮屈さがあります。
周囲に向上心溢れる人が少ない
上司や同僚たちを見ていたら、とてもじゃないですが向上心のひとかけらもなく、仕事の時間が終われば飲みに行き愚痴を言うだけの毎日です。
私は飲み歩いて愚痴愚痴するのが性に合わなかったので、仕事が終われば本屋へ通って毎日学習する時間を必ず設けていました。
しかしよく考えてみれば、公務員はいくら向上心を持って努力しても、ガンガン飛び級できるわけではありませんし、そつなく過ごしていれば自動的に昇格していく流れが強いです。
つまり、「向上心を持つことにあまり意味がない」世界でもあります。
そうなれば当然「向上心を持って沢山のことを学ぶこと」は無駄な時間にしかなりませんから、周囲もそれが当然のような空気になっていました。
給料が規定通りにしか上がらない
公務員はなぜか一般的には金持ってそうなイメージがありますが、ぶっちゃけると給料は驚くほど安いです。
公務員は安定とはいうけど、実は給料が低いまま安定してるという意味なんじゃないかと思うほどでした。
民間では少なからず給料の交渉をする余地がありますが、公務員の場合は給料表というものに沿って決められているため、給料に関する交渉をする余地が一切ありません。
よくニュースで「今夏の公務員のボーナス額は~」と出るたびに批判が出ていたりしますが、
「毎月の給料が低すぎてボーナスがなければとてもじゃないけど年間収支が赤字になる」
というのが私の感想でした。
スキルが身に付かない
これも職種によりますが、絶望的にスキルが身に付かないです。
というよりも、完全に内部でしか通用しないスキルしか身に付きません。
もっと言ってしまうと
「利益を生むスキルが身に付かない」
ということです。
公務員になると、はじめに
「国民の利益のために追力し~」
というような誓約書を書いたり宣誓します。
つまり、公務員というのは自分の利益を度外視した奉仕精神が必要な仕事です。
そのためか、周囲を見ていたら利益を生むスキルが身についていないため、民間企業へ転職することを必要以上に恐れている人が多かったです。
私の場合は、当時から実業家の友人たちと付き合いがあったため、実業家たちの物凄い情熱やハングリー精神に比べ、自分の勤めている職場の「ことなかれ主義」に染まった空気と、まったく違う温度差にかなり戸惑いました。
公務員のメリット・デメリットまとめ
まとめると、公務員に向いてる人と向いてない人は次のようになります。
公務員に向いてる人
・自分のことより他人のために働きたい人
・何も考えずに、与えられてくるものをそつなくこなすスキルを身に付けたい人
・いろんな理不尽に我慢できる人(超重要)
・名誉や誇りを大事にしたい人
・周囲から立派だと思われたい人
公務員に向いてない人
・自分の力で稼ぎたい人
・色んな監視の目が窮屈に感じる人
・マンパワーで勝負したい人
・向上心と努力を惜しみたくない人
・経済社会に揉まれて刺激を受けたい人
・愚痴を言うために飲み歩く時間がもったいないと感じる人
本当の”安定”とは?
一般的に「安定」していると思われる公務員ですが、私個人としては全然そうは思いません。
というのも、「安定」は必ずしも誰かから与えられるものではなく、自分なりに創意工夫して作り上げていくものだと思うからです。
人によっては公務員がめちゃくちゃ向いていて、今後一切辞める気もないし、仕事に生き甲斐を感じている場合は、そこが安定の地でもあるし、収入口を増やすことが真の安定だと考える人もいますよね。
全ての正解は現実に起きていること
ですから、公務員をやっていて安定してる感じがしないということであれば、勇気をもって色々行動してみると良いと思います。